カバーの良し悪しの見分け方
お店やメーカーによって生地の種類やカバーの縫製などの仕様は多種多様なので、一概にこれが最良というのは言い難いですが、
よく見れば少なくとも悪いものの判別はできます。
それぞれの良し悪しのチェックポイントを挙げておくのでぜひ参考に。
見た目の色柄ばかりに注目せずに、細かいところまできちんとチェックするのが失敗しないコツ。
■生地について
色柄など見た目ばかりチェックせずに、サンプルを実際に触って厚みや肌触りをチェックしましょう。
生地の強度はある程度グラム数に比例しますので、持った感じが薄かったり軽いものはあまり丈夫でないと予想されます。
ただ、厚みがあるものでも、生地の強度を増したりほつれ防止のため裏面に溶剤をバックコーティングして厚くなっている生地もあります。バックコーティングしてあるものは裏面がゴワゴワするものが多いので生地サンプルを触ると判別しやすいですし、織りが粗いものは照明にかざすと向こうが透けて見えるので、触ったり透かしてみることでも良し悪しは判別しやすいです。
肌触りについては、やはり化繊のものは心地が悪く、素材によっては帯電しやすくホコリを寄せたりしますので、カタログや生地サンプルのタグを見て
組成をチェックすると良いです。
■カバー着脱の可否
ソファは大きく分けると、生地を本体にタッカーなどで打ち込んで固定する
「張り込み仕様」、マジックテープやファスナーなどでカバーをすべて外せる
「フルカバーリング仕様」、あとは背座クッションはカバーを外せるが本体は張り込み式になっているなど
「半・カバーリング仕様」があります。
「張り込み式」
量産品などによく採用されていますが、本体を違う生地で下張りする必要がなく部材の簡略化や工程数が少なくなるのでコストを押さえられるのが利点である一方、生地が消耗した場合の対応は「張り替え」となり、本体を2~4週間あずける形になるのでしばらくソファのない生活になりますし、既存の生地を剥がす手間がいるので
張り替え費用が高額になりやすいのが欠点。また、ウレタンを交換する場合は表層の生地を剥がす必要があるので、生地交換がなくても工賃が高くなりやすい点も欠点と言えます。
「半・カバーリング」
一番消耗頻度の高い背と座はカバーリングにしてあるため、全部張り込みタイプのソファに比べると親切な作りと言えます。
ただ、意外に汚れやすいアームなど本体部分のカバーを外してのお手入れはできないため、たとえば小さなお子様がいるご家庭や室内でペットを飼っているご家庭など、
ソファを汚す頻度が高い環境ではとても気をつかいますし、もし汚して生地を変えたいとなった場合は張り込み式と同様の張り替え対応となってしまいます。
「フルカバーリング」
すべて下張りする必要があるので材料比率や工程数が多くなり量産には向きませんが、生地が消耗した場合はカバーのみの交換で済みますし本体をおあずかりする必要もないので、
将来的にかかる時間的・金銭的コストをかなり抑えられるのが利点であり、日常使いにおいては汚れてもカバーを外してドライクリーニングなどでお手入れできたり、
カバーを掛け替えて手軽にイメージチェンジできるのもメリット。
■カバー縫製について
最近はカバーリングを謳うソファも増えていますが、本当に将来簡単に交換してもらうためなのか、生産効率を上げたり「セールスポイント」として売りやすくしたりするためなのかは縫製を見るとよく分かります。
カバーリングタイプはファスナーを開いて中を見てみましょう。
まずは裁断した生地の縁かがりをチェックしますが、きちんとロックしてあるかどうか確認しましょう。生地にはいろんな方向から時には強い負荷もかかりますので、
ロックがきちんとされていないカバーは簡単にほつれてくることでしょう。
そして
ファスナー部分の「閂(かんぬき)留め」をチェック。カバーリングを謳うからには将来掛け替えることを想定しているはずですが、ファスナー部分の仕舞いが悪ければ交換の際に簡単にカバーが裂けてしまいます。
あと
替えカバーの設定がきちんとあるかや、どれぐらい費用がかかるかを確認しておくことも重要。
本当に将来のカバー交換を想定しているのであれば当然替えカバーの価格などがあらかじめ設定してあるはずです。「その都度見積もります」なんて対応では不安ですし、替えカバーを商売にしているところもあるので事前にどれぐらいの費用で用意できるのかを忘れずに確認しておくと良いです。いざカバーを替えようと思ったら買うのと変わらない金額だったなんてことになったら、結局使い捨ての買い替えになってしまうでしょうから、それでは意味がありません。
カバーのチェック
生地の組成などはカタログやサンプルのタグに記載があるはずなのでそこをチェック。
生地の強度は厚みや透け感である程度判別できますし、寝転んだりして肌に触れる頻度も高いので、色柄をみるだけでなく実際に触れてみましょう。
カバーの寿命は生地の物性だけでなく縫製によっても左右されますので、きちんと細かいところまでチェック。いい加減な縫製はカバーの寿命が短く、ひいてはソファ本体自体の製品寿命も短くなります。
カバーは着脱可能なのか、可能な場合はどの部分まで着脱できるのか、替えカバーの設定はあるのか、替えカバーの費用はどれぐらいあるのかなど、少し先の未来のことも考えて確認しておくことも重要です。